「大谷第二子供山笠」のすべて(その1:総論)    平成19年8月吉日

 (注意)これは私個人の私家本マニュアルで、大谷第二子供山笠の公式マニュアルではあ
    りません。ここおかしいとか、間違ってるよとか、勘違いしてるとか、に気づか
    れた場合は、blog(徒然日記) の方でお知らせください。
    ・大谷第二子供山笠とは、福岡県北九州市戸畑区の大谷・椎木・菅原・観音寺の各
     地区からなる大谷第二自治会が主催する子供山笠です。
    ・大谷小学校の生徒が中心になっていますが、保護者が同伴されれば、自治会外の
     子供さんも参加できます。
    ・また、子供に対して男の子・女の子の区別をいたしません。v(^ ^)
     ので、女の子も山に上れますから、囃子方に参加し、太鼓や鉦を叩きましょう。
 大谷第二子供山笠には長い歴史があります。これだけの長い期間を安全に運行するには、
 きちんとしたそれなりのノウハウが必要です。特に大谷第二地区は地勢的に平坦な所は
 ありません。70mはゆうに有ろうかという高低差の厳しい所での山笠の運行です。
 滅多にこんな所はないんじゃないかと思います。非常に高度なテクニック・ノウハウを
 要します。が、そのノウハウは人から人へと伝承されてきてはいますが、経験という形
 ですので誰が見ても判る形にはなっていません。
 山笠を長く伝承し続けていくためには、ノウハウを判る形にしておく必要があります。
 こうしておけば、未経験の方でも新たに参加しやすくなります。
 そのためにこれを作りました。

 ちなみに、現在(平成22年)の戸畑全地域の子供山笠は、

 (天籟寺地区)
  ・大谷第一子供山笠(幟山) ・大谷第二子供山笠(飾山) ・天籟寺赤子供山笠(幟山)
  ・天籟寺青子供山笠(飾山) ・天籟寺黄子供山笠(飾山)
 (東地区)
  ・新川子供山笠 ・浅生子供山笠 ・東丸山子供山笠 ・西牧山子供山笠 ・牧山子供山笠
 (西地区)
  ・銀座子供山笠 ・元宮子供山笠 ・鳥旗町子供山笠 ・三六子供山笠
 (中原地区)
  ・東中原子供山笠 ・西中原北子供山笠 

 の以上16山です。 昔はもっと沢山あったそうですが、人口の減少などで無くなりました。
 ですから、永く存続し続いていること自体、本当に大変で素晴らしいことなんだと思います。
 古老の話では、多い頃は70基以上の子供山笠があっただろうとのことです。天籟寺地区で
 も昔は菅原神社に入りきれないほどの子供山があったそうですが、今は5台です。

    天籟寺地区の子供山笠(中日、菅原神社にて)
 大谷第一、第二、天籟寺青、赤、黄 の各山笠(左より)       町内の遠望(下から上まで全部町内)

 

§1 由来と組織

 <由来>
 戦後、大谷地区は住宅化が進み、生活を共にする住人が増えてきました。
 人口は増えましたが、まだ地域をまとめる町内会のような組織はできていませんでした。
 そうしたなかで、昭和35年(1960年)頃、ようやく町内会を作る機運が起こり、有
 志の集りができたそうです。
 そうは言っても、町内会がそう簡単にできるという訳にはいかなかったようです。
 行政のトップダウンではなく自然発生的なものですから、何か地域がまとまる象徴的なも
 のが必要だったのじゃないかと思います。
 それとちょうど、戦後のベビーブームに生まれた子供たちが小学生になっており、回りに
 は悪戯盛りの腕白達・お転婆達がわんさかおりました。
  天籟寺地区にも子供山は幾つもありました。でも、地区が違えば、なかなか参加は出来ま
 せん。参加したくても見ているだけしかなかった子供たちが大勢いました。親御さんはほ
 んと辛かったと思います。そうした時代背景もあったんだと思います。
 そんな中で、地域の「象徴」としての「子供山笠」が自然と生まれたんだと思います。
 「子供山笠をやろう! 町内会を作ろう!」が有志の合言葉だった、と聞いています。
 結果、「大谷通町内会」と「大谷通子供山笠」が生まれました。
 そして、いろいろな変遷を経て、今の「大谷第二自治会」「大谷第二子供山笠」と受け継
 がれてきたわけです。
 ほぼ半世紀の歴史ですね。子供山笠を生んだ先達や育んできた方々の思いと地域の方々の
 支えがあって続いてきたんだと思います。
 ほんと、ずっしりとその重さを感じます。
  ※当時作られたであろう太鼓に「昭和参拾七年七月 大谷通町内会」と刻まれています。
 ※最初の年の山笠は他所からの借り物だったそうです。翌年に新調されたとか。
 ※昭和38年頃の8ミリフィルムで記録された当時の子供山笠の運行の様子がビデオテー
  プに変換され残されています。
 ※数年前、保存されている菊池酒店さんで見せていただきました。貴重な文化遺産映像で
  すね。
 ※平成20年の祇園で、46年振りに山笠が新調されました。
  大きく変わったのは、手動ブレーキが装着されたのと、台柱の外側にあった棒が内側に
  なったこと。神座が新たに設けられました。この神座は初代の材料で作られています。

        初代山笠(昭和37年、1962年頃)      →       二代目山笠(平成20年、2008年)

 → 
             ”昭和参拾七年七月吉日 大谷通町内会” の銘のある子供山の太鼓


 <組織>
 子供山の組織は面白い組織形態をとっています。

       自治会(町内会)
          |
       山笠運営委員会・・・神社総代(自治会の役員さんが兼務しています。)
          |
       山笠運行部隊  ← 山笠参加表       
 
 自治会の主要行事の一つとして子供山笠の運営は位置付けられています。なので当然ですが、
 山笠運営委員会の中核には、自治会の役員さんが全員入っています。そして実務補助的な方
 々が数人居ますので、役員数では自治会よりちょっと多いです。
 総会は自治会の総会と全く同じで、自治委員さん全員で構成されています。
 山笠運行部隊(実行部隊)は山笠参加表より経験等を考慮して3部隊が組まれ、初日、中日、
 楽日の運行をそれぞれ担当します。
 ※自治委員さんは全員参加です。3部隊編成と言ってもメンバーが若干入れ替わるくらいです。
       

§2 山笠の各部の名前

 <前後>
 正面(前)は「表(おもて)」、後ろは「見送り」
 表の上部に御神体が置かれる。中段の切込みがある方が表。

  全体として、他所の地域の子供山笠と比較して一回り小ぶりに作られています。地勢的に山坂
 が多いのと、狭隘な道路での運行を余儀なくされますので軽さと操作性重視に作られているの
 は止むを得ないと思います。


           表側                      見送り側
   *この写真では表に「大谷第二子供山笠」の表札(おもてふだ)を付け忘れてます。

        御神体                  神座

 <担き棒(かきぼう)>
 担き棒は左右に2本、約4mの長さ。
 表側を「前棒(さきぼう、まえ)」、見送り側を「後棒(あとぼう、あと、うしろ)」。
 先端部分を「棒鼻(ぼうばな)」といい、各棒鼻に「鼻縄(はなわ)」が通されています。

 <綱>

 曳き綱  : 4cm太さ x 長さ50m x 2本・・・実際は100mの長さの綱を先端で
        2つ折。
        単に「綱」と言った場合はこの曳き綱を指します。
        先端から「綱先(つなさき、さき)」「中綱(なかつな、なか)」「綱元
        (つなもと、もと)」と言います。
        綱元の部分に捻れ防止の為のセパレーターがあります。
        綱と台車を結ぶ部分は「綱根(ね)」といい大きなシャックル(U字型金具)
        が付けられています。これに細ロープで綱が固定されています。 

 送り綱  : 親指太さ x 長さ15m x 1本 
        この綱は状況に応じて延ばしたり仕舞ったりしますので取扱い易いように細い
        綱です。細いので掴み難く力を入れると手が痛くなります。そのため、和手
        ぬぐいを巻きつけて掴んだり曳いたりします。元々は見送り綱と言われていた
               のかも。

 鼻縄   : 1cm太さ x 直径40cm x 4本 
        棒鼻にあり、担き棒係はこれを掴んで山笠を曳く。

        曳き綱                セパレータ 

        送り綱                       鼻縄


 <引き幕>
 水引幕:勾欄台(こうらんだい)の四周に回している幅の狭い1枚の幕。細綱に通し、周囲の
          金具に引っ掛ける。
     前後左右の区別があり、真後ろで合わさるようになっています。
                                                                    ・・・ここ記憶曖昧
 切り幕:台車の四周を覆っている幅の広い幕で、前面側面が一体になった幕と見送幕の2枚あ
          ります。
     これも、細綱に通し、周囲の金具に引っ掛ける。見送幕の所から囃子方が出入りします。

        水引幕と切り幕

 <その他>
 台柱(だいばしら) :台車の四隅の柱
 床板(とこいた) :台車の床。 ここに太鼓が置かれる。太鼓方用の子供用の椅子あり。
 匂欄台(こうらんだい)または中段(なかだん):
          台車の中段で匂欄を付けます。上がり降りできるように、50cm角ほ
                     どの穴がある。この中段に鉦を吊り下げる。
          この台の形状は凹型をしており、切り欠きのある方が前です。
          数年前のことですが、どこでそうなったかは??ですが、前後を逆に
                     飾りつけられたことありました。
          山を組む時は要注意です。
 飾り柱(四本柱、しほんばしら):
                   飾りものを取り付ける柱。台柱に2本のボルトで取り付ける。
           前後に1段、左右に3段の貫板を通し楔で固定し、天端には4周に天板
           を嵌めて固定します。これで頑丈な飾り台の完成です。これに人形師が
           飾り物を取り付けて飾り山が完成します。

 腰板(こしいた) :飾り柱の上部に打ち付けた左右の梁に渡した2枚の板。
          これにお花上げ係、お花受け係、掛け係の囃子方が腰かけて作業をする。
          結構揺れるので想像以上に疲れます。



 台車(だいしゃ)と言うのは、何も付いていない状態を言います。(下の左の写真)
 飾り終わった状態は台車(だし)または山車(だし)と言います。漢字は同じで読みが違い
 ます。(下の右の写真)

           台車(だいしゃ)           山車(だし)

                腰板 


 <飾り人形>
 人形師によって飾りつけられ、「表」と「見送り」側にそれぞれ飾られます。
 良く知られた歴史的な題が使われますが、表と見送りでは各々別の題で飾られます。誰でも
 判るように「題目」が掲げられています。
 2面とも3体の人形で三角形を構成する形が標準のパターンのようです。
 表の向かって右側に「大谷第二子供山笠」の表札が立てられます。

 <お囃子方用具>
 太鼓(たいこ)・・・ドンドン
 鉦(かね)  ・・・チギリンコンコン
 合せ鉦(自安我楽、ジャンガラ) ・・・チャジャーン
 お花受け ・・・先にクリップの付いた、会計さんとお花の受け渡しをする道具。
 差し又(さしまた)・・・電線や枝を避ける為の先がY字形になった棒。最近は、事前に枝切
            り等の処理するので殆ど使われない。
  ※本来の囃子方には笛もありますが、小学生では難しく?採用されていません。
  ※その他の道具として、太鼓バチ、太鼓台、鉦木槌、鉦取付枠、ハンドマイク。
  ※大人が1名お花係りの補助として付きます。が、身軽な方じゃないととても体が持ちま
   せん。
       太鼓            鉦      

       合せ鉦                 お花受け  

§3 役 割

3ー1 委員長

   会を代表いたします。祇園の1週間前に開催される子供囃子方の競演会の引率もいたし
   ます。

3ー2 副委員長

   委員長を補佐します。監査役や総監クラスの方です。謂わば、執行役員です。

3ー1 総監(そうかん)

   山笠の運行の3日間を3人の総監が受け持ちます。運営委員会の副委員長クラスの方が
   勤められます。
   運行中の全ての指揮をとります。山笠は大勢の大人・子供で動いています。それをまと
   めなければなりません。
   山が進むのか止まるのか曲がるのか休むのか開始するのかなどなど、全て総監の指示で
   決まります。

3ー2 祭典方(さいてんかた、祭典委員)

   祭典方は約5名。定員はありませんし、正・副もありません。老人会が主体です。
  
                        祭典方       

   写真のように「御幣(ごへい)」を10本程持ち、山の進行方向の家や店を訪問しお花
   を勧進して回ります。
   「お花」のお返しに「御幣」をお渡しします。頂いたお花は副会計に渡し、後の処理を
   まかせます。
   平均1日で100本から150本のお花(金額にして13万円から16万円)を勧進さ
   れるのは、凄いと思います。さすが年季・やはり年季だと思います。誰それができるよ
   うな技ではないです。
   結果、祇園3ケ日で350本から400本のお花(金額にして42万円から50万円)
   を勧進されます。
   狭い道路と1度しか通らない場所では両サイドを勧進します。
   往復する道路では片側づつ勧進します。
   中日では各人30枚位の金額未記入の領収書を持ちます。
   それ以外の日は、正会計が持っています。
   ※御幣は、大山では天下泰平とも呼ばれてます。
   ※手毬子(てまりこ)をお花返しに使う地区もあります。
  
            御幣(天下泰平)           大山の手毬子   

3ー3 囃子方(はやしかた)

 大谷小学校の4・5・6年生で作る郷土クラブのクラブ員。毎年10人前後位います。
  ・太鼓   1人 ・・・・太鼓係
  ・鉦    1人 ・・・・鉦係
  ・合せ鉦  1人 ・・・・ジャンガラ係
  ・お花上げ 1人 ・・・・花の御礼係
  ・お花受け 1人 ・・・・お花の受け渡し係。
  ・掛け   1人 ・・・・掛け声を掛ける よいっとさー よっさー 
               「赤旗」「黄旗」を持って進行を合図。
               この旗が最終の合図。

                     囃子方

   花の御礼の口上:
    「花の御礼を申し上げまーす。
     右は当所、○○様(、ドンドン、○○様)より当山笠に下さる御花、
     高うはござりますが花の御礼ーーー!」

    「はなのおんれいをもうしあげげまーす。
     みぎはとうしょ、○○さま(、ドンドン、○○さま)よりとうやまがさにくださるおんはな、
     たこうはござりますがはなのおんれーーーい!」・・・・(注)読み方です。

     ※花の御礼の口上後にお花囃子があります。と言っても太鼓鉦の連打ですけど。
     ※複数の名前上げがある場合は、その間に「ドンドン」と合いの手の太鼓が入ります。
   太鼓・鉦・合せ鉦は、山の下方に居ます。が、お花上げ・お花受け・掛けは山の最上段の
   腰板に腰かけて作業をやっています。山は相当揺れますので。身軽な子供・若者じゃない
   ととてもじゃないですが勤まりません。見た目以上に相当疲れる仕事です。
   ※大谷第二子供山笠では山車の最上段から花の御礼の口上を行う習いですが、どこの地区
    でも同じではありません。山車の下段や道路上で口上を行っている地区もあります。

   掛け声は、掛け係(ハンドマイク使用)と綱に付く子供達が交互に掛け合います。
    平地では、「(掛け係)よいっとさー よいっとさー」
         「(子供達)よいっとさー よいっとさー」
    坂道では、「(掛け係)(あ)よっさー よっさー」
         「(子供達)(あ)よっさー よっさー」
   と言うように。(あ)は判るか判らないくらいの添え。
   また、「よいっとさー」の掛け声の時は、片方の手を上へ突き上げる動作をする場合もあ
   ります。が、「よっさー」の掛け声のときは、それはありません。

   この「掛け声」というのは大変重要です。と言うのは、山笠を曳くのは単調な作業で、お
   まけに真夏で暑いときています。
   好き易飽き易でそう簡単には根気が続かない子供達です。いつもの腕白やおてんば連でも
   さすがに元気が無くなってきます。
   このタイミングを見計らってこの「掛け声」を掛けさせます。それもできるだけ腹の底か
   らの大声で、わめくみたいに。
   すると、ふにゃふにゃになりかけていた子供達が、見る間にシャキッとなっていきます。
   これはほんと不思議な光景です。
   子供達に限らず、付き添いのお母さん連、山笠の大人達も同じように元気になります。

   で、結果、真夏の暑い盛りの長丁場を乗り切ることが出来、「あー、おいちゃん! キ
   ツかったばい!」と言いながらも、また次の日も、さらには翌年も、元気に集まってき
   てくれます。
   ほんと、この「掛け声」の効果は凄いものがあります。もしかして、魔法のおまじない?

3ー4 交通方(こうつうかた、くるまかた)

   先見(さきみ)、中継(なかつぎ)、後見(うしろみ、あとみ)の3名です。
   曲がりがきつい場合は補助で中にもう一人中継が入ります。
   道具として「赤旗」「黄旗」を各1本持っています。

   直線や緩いカーブで見通しの良い道路では、先見・後見で交通整理を行います。
   中継は、道路側の綱付きの子供達の安全を図ります。
   見通しの悪いカーブでは、前後の間の合図を中継が中継します。
   合図は「黄旗」と「赤旗」で行います。
   (例)
   片側通行しかできない道路で、前から来る車を通し、後ろから来る車を止めたい場合。
   合図は通したい側が行います。
   1 先見が後見に対し「赤旗」を掲げ振ります。
   2 後見は了解の合図に先見に対し「黄旗」を掲げ振ります。ダメな場合は「赤旗」を
     掲げ振ります。
     「黄旗」を下ろすと同時に後方から来る車に対し「赤旗」を道路中央方向に水平に
     出し、止めます。
   3 後見が「赤旗」を水平に出し、車を止めたのを確認したら、先見は前方の車に対し、
     黄旗を示し
     体の前で進行方向に振り、通行する事を促します。この時赤旗は車の進行方向へ水
     平に出します。
     黄旗を振る場合、体の下前方で振り体より上方で振らないことです。車から見てい
     る人は、空中で旗が振られてもどちらの方向に振られているか判り辛いからです。
     自分の体を背景にして振ると車から見やすいです。
   4 中継は先見・後見の合図を中継するだけです。

             赤旗・黄旗


                   交通方



3ー5 山笠係(やまがかり、山笠運行)


 山笠係は棒に付き、
    先棒(さきぼう) 前台(さきだい) 後台(あとだい) 後棒(あとぼう)
    の4名ペアが両サイドに付く。計8人の「棒方(ぼうかた)」。
    後ろには「送り綱」が真ん中に入ります。
    の計9人
    # 「お先棒を担ぐ」の先棒のことです。
 <棒方(ぼうかた)>
  前棒は小舵がメイン。ちょこちょこ舵を打ちながら山の方向性を決める一番大事な操作。
  且つ、腕に抱きかかえ持ち上げたりするので、体力的に頑強な者。
  後棒は大舵がメイン。曲がり角等で山を一気に回す役目。
  

  名前は曳き山でも台車は基本的に曳く(引っ張る)構造にはなっていません。
  鼻綱を持って曳くくらいがやっとこさです。
  もっぱら押して動かす構造だと思ってください。
  ですので先棒の2名は山を動かすというより山の操縦がもっぱらの仕事です。
  常に山の状態を監視しながら先の予測をもって山を操縦します。
  そして判断しながら、他の山笠担当に指示を出します。経験豊富な壮年が中心です。
  後棒は大曲りでの棒の横操作を担当します。
  先棒との息が合わないと難しいです。
    大曲がりも先棒が指示を出します。掛け言葉(せーのー、やー!)は先棒が音頭をとります。
  あと、前台と後台の方は、先棒方・後棒方の手伝いと、各車輪の”輪留め”の掛け払いを担
  当します。
  山を止める時は必ず輪留めを掛けます。

           山笠係                         輪留


3ー6 綱係(つなかかり、山笠運行)


  ・先導 1人(子供) 「赤旗」「黄旗」を持つ(下の写真参照)
  ・綱先 1人
  ・中綱 2人
  ・綱元 1人

    山車の「出発進行」と「停止」の合図は、囃子方の掛け係が山笠係の指示に従って行います。
   ・山笠係より「出発進行」の指示が出ると、掛け係は「黄旗」を掲げ、笛を吹きます。
   ・これを見て「先導」が「黄旗」を掲げて綱に付いている綱係や子供達に「出発」の合図
    を出します。
   ・山笠係より「停止」の指示が出ると、掛け係は「赤旗」を掲げ、笛を吹きます。
   ・これを見て「先導」が「赤旗」を掲げて綱に付いている綱係や子供達に「停止」の合図
    を出します。
   ・山笠係が「出発停止」の合図を出すのは、こまめに行わないといけない花の御礼のタイ
    ミングが一番判る所に居て判断できるからです。
    会計が代わってやる場合もあります。そこらは臨機応変です。    

  掛け声は、「しゅっぱーつ!(又は、しゅっぱーつ!しんこうー!)」「とまれー!」です。

 ・綱に子供を付かせる場合:
  まず両綱の捻れや交差が無いように綱を平行に延ばしますします。でないと綱に張力が掛か
  ったとき挟み込みを生じ危険です。
  子供が勝手に綱を引いたりして綱が動くと危険ですので、安全のため綱元は必ず綱を両足で
  抑えておきます。
  子供どうしの距離は、前に延ばした手が前の子に当らないくらいに離れさせます。子供はど
  うしてもくっついてしまいがち。ひっ付き過ぎると足がもつれる原因にもなり危険。

 ・綱から子供を離す場合:
  子供が綱からすべて離れ、安全になるまで、綱係は両足で綱を踏みつづけます。(綱踏み)
  それは、踏んでおかないと、不意に綱が引かれた場合、子供達が綱で薙られたり、綱に引っ
  かかったりして危険だからです。

 ・曲がり角での操作:
  曲がり角は、大きく大きく大回りします。が当然、綱は曲がりの内側に戻ろうとします。
  なので、綱についている綱係や大人はカーブで綱が内側に跳ねないように抑えないといけま
  せん。
  でないと、内側の子供達が綱に跳ね飛ばされます。
  綱の抑え方は、内側の綱より外側の綱の跳力の方が強いでので、2本の綱の間に入り、腰で
  外側の綱を抑え、内側の綱は手で握って抑えます。
  近くにいる大人たちにも綱抑えを手伝ってもらうようにしてください。ま、大概は、何も言
  わなくても手伝ってくれます。

 ・路面が濡れている時の操作:
  路面が濡れている時は滑りやすくなります。特に側溝等のグレーチングやマンホール等の蓋
  は滑って危険です。通らないようにするか、滑って危ないことを注意しましょう。
  これ以外でも、路面上の砂や砂利などでも滑りますので注意が必要です。

     先導と掛け係の連携

             綱先                                綱踏み

3ー7 会計方(かいけいかた)


   会計は3名。正1名・副2名です。正会計を会計、副会計を副と呼びます。
   仕事は「お花」の会計です。
   祭典さんが頂いてきたお花を副会計さんが受けとります。
   どこのお宅からお花を頂いたかを祭典さんに確認しておきます。
   この「お花」を正会計さんへ渡します。この時、頂いたお宅を正会計さんに伝えます。
   「お花」は封筒に入れられていますが、中には間に合わず裸で頂く場合があります。
   この時は、持参の封筒に入れて名前を書きます。
   花の御礼は子供達が行います。は、良いのですが、なかなか達筆な名前を読めないのが難
   点です。
   で、会計さんがふりがなをつけて通し番号を書き、呼子を吹いて山笠を止め、お花受けで
   囃子方に渡します。通常運行で、総監以外に山笠を止める権限を持つのは正会計だけです。
   花の御礼が終わったらお花受けで受け取りカバンへ直します。
   このカバンの中は、電卓、ボールペンが数本、ハサミ、輪ゴム、子供山の領収書が入って
   います。

   その日の巡行が終わったら、すぐに集会所に先行し、そこでお花の集計を行います。
   副1名が通し番号順に封を開けお花を半分引きだします。それを次の副に渡します。
   次の副は金額を確認し封に金額を記入します。次に正がその金額と封に記入された金額を
   照合します。
   照合の後、金と封筒に分けます。
   この一連の作業が終わったら、お金の計算(1万円毎に)と封筒の金額の合計を行います。
   両者が会えば集計は終わりです。
   直来の会場に赴き、当日のお花の結果(本数と金額)を公表いたします。

   金は銀行に預金し、お花の封筒は会計監査が終了するまで保管しておきます。

   中日は商店街を巡行しますので、お花を頂いたお店に領収書を渡します。
   各祭典さんに一人当たり30枚程領収書を渡しておきます。白紙領収書で、金額は先方に
   記入してもらいます。

                        会計方

   
3ー8 接待方(せったいがた)

   接待方には内方と外方がいます。内方は10人程、外方は5人程。

   外方は運行に出られるお母さん方が手伝ってくれますので山側では10人位になります。
   外方は、運行途中の休憩所での飲み物、終点での飲み物と子供への菓子配布が主な役割
   です。
   軽トラに4つほど大きなポリバケツを乗せ運びます。外、別途で事前に冷やしておくポ
   リバケツや氷も必要です。
   軽トラと庭と倉庫を持っておられる方でないと勤まりません。飲み物のケースだけでも
   相当な量になります。これを事前に準備しておくだけでも大変な作業です。
   中日には、神事の間にお弁当(おにぎり2コ?+たくあん)で腹ごしらえをします。
   200人分必要です。ただのおにぎりにたくあんですが、これがほんと美味いのなんの。
    初日:飲み物600本、菓子100個。
    中日:飲み物800本、菓子150個。
    楽日:飲み物1000本、菓子150個。

                     外方接待

      外接待車両には大谷第二子供山笠のマグネットシートが貼られています。



   内方(または直会方)は、直会の準備です。冷や奴、そうめん、お酒、お弁当を調達し賄
   います。大体毎日40人分は必要です。

    ※ 直会(なおらい) :毎日の運行終了後、市民センターで行う反省会と懇親会
               のこと。
               大変なエネルギーを要する行事なので、明日以降更には来年
               を見越した参加者達の結束を強める場。
               少しのお酒とつまみとお弁当がでます。ここでの冷や奴とそ
               うめんはとても美味しいです。
                 接待方を行う町内の主婦連が取りしきっています。
               山笠の中でも重要な行事の一つです。

   接待方さんは婦人会の方が主にやっていただいておりますが、子供山笠を支える裏方さん
   として、ほんと感謝感謝です。

   
3ー9 救護班(きゅうごはん)

   暑い盛のお祭りです。途中で気分が悪くなったり怪我をされる参加者がおられるかもしれま
   せん。その時の為に、家庭医療品その他を準備し、いつでも介護ができるように、救護車両が
   山笠の後を従いて運行してます。

      外接待車両には大谷第二子供山笠のマグネットシートが貼られています。




§4 運行

4ー1 運行日程

  戸畑祇園の日程は、7月の第四土曜日を挟む3日間と決まっています。それに合わせて、子
  供山も運行されます。
  大谷第二子供山笠の御旅所(おたびしょ)は、大谷中学校の北側の10号公園(「チビだこ
  公園」とも呼ばれています)です。
  以前は、菊地酒店裏とか元日立金属の社宅敷地内だったこともあります。今のお旅所は地区
  の南端に位置します。
  何かと不便ですので、先々は、地区の中心にある大谷小学校をお旅所にしようという案も出
  ています。
  ちなみに、盆踊りは大谷小学校でやっています。

4ー2 出発前

    毎朝、運行委員は、受付をやっている接待方に地域・氏名・役割を伝え、該当の腕章を受け
  とります。
  毎朝、接待方が、安全祈願用のお神酒、つまみ(こぶ、スルメ、塩、など)、紙コップを用
  意してくれてます。
  塩を台車の四隅に積み、お神酒をかけ、2礼2拍1礼の安全祈願をし、お神酒とつまみをい
  ただきます。
  曳き綱は、山を道路に出してから流して子供を付けます。小屋から道路までは大人が出し
  ます。
  曳き綱を出すこと(延ばすこと)は「綱を出せ」「綱を延ばせ」「綱を流せ」などと言い、
  短くすることは「綱を戻せ」と言います。

  ※ 経路は「運行経路図」参照。


                            受付                お神酒


4ー3 運行

   <初日(金曜日)> 
     山笠運行 9時  〜 12時・・・(7、8、9、10、11協議会)

     初日の運行は、大谷地区と菅原地域半分が中心となります。初日は、金曜日ですので、
     企業人は休まなくてはなりません。
     そのため、人員を確保するのが大変です。

   <中日(土曜日)> 
     山笠運行 8時半 〜 14時・・・(菅原神社、天籟寺商店街、大谷通り)

     中日は、菅原神社の神事が9時から始まります。それまでに神社に到着しないといけ
     ませんので早めの出発です。
     特にうちの山は一番に神社に入らないといけません。あと、神社に着くまでは、お花
     は一切いただきません。間に合わなくなるからです。
     神社に入る際は、囃子は厳禁です。静かに静々と入らなければなりません。
     大山、小天、子供山5基の計7基が集合します。大山、小天は前日から来ています
     ので、当日神社に来るのは子供山だけです。
     神事が終わると、抱き布(さらし)に巻かれた祠(中にご神体)を戴きますので、
     山の上座に鎮座していただきます。鎮座と言っても、
     落ちないように、ひもです巻状態です。神事はだいたい10時半には終わります。そ
     れからお下りが始まります。
     大谷第二子供山笠のお下りの順番は一番最後です。恒例となっています。要は後入れ
     先出し法ですので、神社には一番早く入らないといけないと言うことです。結果、
     出発は11時頃となります。
     神事には、山から2名参加します。さらし1反(抱き布)とお神酒1本を持参します。
     このさらしで祠をぐるぐる巻にしたうえで山にくくりつけます。
     このさらしは「男つな」と呼ばれ、安産のお守りとして、希望される方が多いです。

     そのため、子供達の待機時間が9時から11時までと長時間となるのと、運行の終わ
     りが2時頃になります。
     で、その間を利用して腹ごしらえ(中食:ちゅうじき)をすることにしています。多い時
     は、総勢200人近くになります。誰がどこの地区かなど判りませんので、お弁当を配
     るのは大変です。それで、地区(協議会)毎に集まって貰って中食をとって貰ってい
     ます。もう一つ問題がでてきます。それは、大人は自分がどの地区というのは判りま
     すが、子供は全く判りません。といって顔を覚えることなど不可能です。で、判るよ
     うに子供達には事前にカラーリボンを配っています。これを衣服に付けて参加して
     もらっています。これなら誰がみても判ります。
     中食をとる場所は、大谷小学校の中庭のテラスを利用させてもらっています。

     中日は幹線道路での運行となります。従って、交通安全に一番神経を使います。車が
     どんどん通っている中での運行ですので、交通係に熟練した方でないとやれません。
     交通係さん自体が大変危険な状態におかれます。
                             大谷小学校のテラスでの中食
        

   <楽日(日曜日)> 
     山笠運行 9時  〜 12時・・・(1、2、3、4、5、公団、大谷園)

     楽日の運行は、椎木地区と菅原残り半分の地区が中心になります。日曜日ですので参
     加者は一番多くなります。200名を軽く越えます。
     そして、高低差が70m位はあります。これを登り降りしながら登って降ります。ま
     た道路はカーブが多いです。
     最初に、地区内ではないですが、大谷特別養護老人ホームを訪問します。このホーム
     建設に尽力された方々が町内に居られたという事より地区外であっても訪問するよう
     になったとの事です。
     カーブが多いですので、交通係の特に中継ぎに熟練を要します。

     この日は、運行が終わると山の解体と神社への納車があります。大体、人形師が15
     時頃解体に来られます。
     それまでに直会を済ませておきます。人形師は人形と飾りしか取り外しません。人形
     師の解体には手を出したらいけません。手順ややり方があるので手を出しても迷惑に
     なるだけです。見てるだけの方が良いです。
     テント、木材、綱、囃子道具、椅子、テーブル、小物は倉庫に直します。これは軽
     トラックで運びます。
     台車は掃除してから神社の倉庫に納車します。この時も、一番最初の納車になります。
     納車の時に、御神体を神社に返納します。


                  山笠解体               菅原神社の倉庫への納車


4ー4 (お旅所)戻り

   その日の運行が終わって小屋に帰ることです。
   公園前の道路で山を止め、子供を綱から放します。
   山を曳いた子供達・お母さん方・お父さん方・囃子方に、頑張ったご褒美として、お菓子
   が配られます。
   曳き綱を前棒に納め、山を小屋に納めます。そして、直会(なおらい)にて反省会・懇親
   会です。
   場所は大谷市民センターの2階の大小会議室です。
   会計さんは、3人でお花の集計を行ってから、直会に参加して結果報告をします。
   
   直会のお開き時に、接待方から、朝に受け取った腕章と引き換えにお弁当がもらえます。

            直会(懇親会)             直会弁当


§5 予算

5ー1 予算

   子供山笠の運営にも当然に費用がかかります。毎年少なくとも150万円は必要になります。
   これらのお金は全て寄付金で賄っております。内訳は、町内の寄付金で50%、企業よりの
   特別寄付金で25%、お花代で25%の割合です。この中から少しずつ積立を行っています。

   下の写真は、寄付をしていただいた方々のお名前を掲示している芳名帳です。全員のお名前
   を掲示させていただいています。   
                           以上 私家本マニュアルです。

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